熟成古酒「山吹」とは
世界に数え切れないほどある酒類の中で、日本酒には他の酒には無い特質があります。それは「米が作る旨味《うまみ》」です。これほど上質の旨みを多く含んだお酒は他にありません。それを熟成させることは、もっと奥深く、複雑で神秘な旨みを醸し出させることなのです。 文献を紐解くと、熟成酒は鎌倉時代より江戸期に至るまで高級酒としての地位を得ていました。寝かせることで美味しくなることの価値は認められていたのです。しかし明治期に入り、お酒の発酵が終ると同時に税を取り立てると言う理不尽な酒税法によって、お酒を貯蔵しておく余裕がなくなり、その血脈は途切れてしまいました。 日本酒に熟成の世界を取り戻したい。再び熟成の世界を広げられたら もっと日本酒は楽しくなる。そんな思いで「山吹」を育ててきました。
秋田の気候風土を生かし細かなノウハウと長い時間をかけて引き出された「旨味」の世界。
お陰様で「山吹」は、2009年にロンドンで毎年開かれる世界最大規模の酒類コンテスト「インターナショナル・ワインチャレンジ(IWC)の日本酒部門にエントリー。 純米酒や大吟醸酒をおさえ、初エントリーで最高賞チャンピオンに輝きました。その後、2018年まで6回IWC金賞受賞に輝き。今やっと、熟成酒の持つ芳醇で奥深い味は海外でも驚きをもって認められつつあります。 年月を経て認められるものは世界の高級酒に必要な要素なのです。 今ではフランスをはじめ各有名三ツ星レストランでも採用頂いております。米から醸し出され、熟成によって鍛え上げられた旨みは最上のマリアージュを生み出します。旨みが上質であれば上質であるほど新しい発見と驚きを皆様に感じていただけると思います。 香りが開く常温がおすすめですが、オンザロックや炭酸割り、ホットでも自由にお楽しみいただけます。各温度帯で変わる味わいもお楽しみください。 熟成酒「山吹」は年月を加えることで鍛えられたお酒です。常温で保存して頂き、何度開け閉めをしても大丈夫です。品質に変化はございません。ウイスキーと同じ扱いで結構です。 封を開けずに貯蔵いただければ100年でも持つお酒なのです。 美しく溶け合った琥珀色、香り、時間、その味わいを、ぜひ、お気に入りのグラスでごゆっくりお楽しみ下さい。 熟成古酒「山吹10年」角ボトルは 、熟成させた重厚な柔らかい口当たりと熟成感の中に、香辛料系のスパイシーな香りと味わい、爽やかな苦みがあります。さらに薫製したクルミのような香りも特徴です。
新しい味覚世界の探求へ。
うまい日本酒は「熟成」にあり。 金紋秋田酒造(株)が現在の組織となったのは1973(昭和48)年。県内の酒造会社と卸業社の出資によって誕生しました。しかし私たちの酒造りは、その中心となった秋田冨士酒造店の創業である、1936(昭和11)年にさかのぼります。 往時から今日まで連綿と伝わる銘柄は、「秋田富士」。これは秋田と山形にまたがる東北第2の高峰鳥海山の、秋田側からの呼び名です。米どころ秋田平野をうるおし、古来山岳信仰の対象としても知られた秋田富士の名は、県下はもとより秋田を離れて暮らす人々にも特別の意味を持っています。 戦後復興が急ピッチで進められた昭和20年代から30年代。秋田の多くの人々は、移住や出稼ぎで北海道の炭鉱に仕事を求めました。秋田富士は、そうして「黒いダイヤ」を掘り出す現場で働く秋田県人たちから、絶大な支持をいただいたのです。 もともと明治以降、数多くの秋田人が北海道開拓のために津軽海峡を渡りました。石狩川の治水工事などでは、勤勉で堅実な秋田人は信用人夫といわれ、その働きぶりにはひときわ定評があったといいます。 ふるさとを離れて厳しい労働に明け暮れる人々に、秋田富士の名と味わいは、何ものにもかえがたいものがあったのではないでしょうか。先代社長は、北海道の卸企業と共に、炭鉱街の酒販店をくまなくまわったものでした。 そしていま金紋秋田酒造では、熟成古酒と北海道のさまざまな食材との組み合わせによって、食の世界との関わりを広め、いっそう深めようとしています。 発想を一歩進めれば酒造りとは、日本酒単体の味覚評価だけにとどまらない、新しい味わいの世界の探求にほかなりません。日本酒の根源をしっかりと踏まえながら、私たちは、熟成古酒というほかにまねのできない旨味を抱く日本酒によって、さらなる未知の地平へのブレイクスルーを求めてやみません。