毎日にきらめきを添える、
耐熱ガラスメーカー発のアクセサリー

2021年に創業100周年を迎えた、耐熱ガラスメーカー「HARIO(ハリオ)」。ビーカーやフラスコなどの理化学用器具の製造からはじまり、現在はコーヒー器具や食器など、家庭用品部門でも数多くのヒットアイテムを世に送り出しています。そんな同社が数年前、新たにガラスアクセサリーの製造をスタートしました。

耐熱ガラスの特徴をいかしたアクセサリーは、シーンを選ばない上品なデザインでありながら、価格が手ごろとあって、販売開始からまたたく間に人気商品となりました。その裏側には、耐熱ガラスメーカーならではの知恵と、職人によるハンドメイドの技が込められています。

その魅力に迫るべく、工房が併設されている東京の直営店「HARIO Lampwork Factory 小伝馬町店」を訪問。アクセサリー職人の平野さやかさんにお話をうかがいました。

ガラスアクセサリー誕生のきっかけは
ガラスを再利用するためのアイデアから

「HARIO」は1921年、「柴田弘製作所」として東京・神田で創業。日本で唯一自社工場を持つ耐熱ガラスメーカーとして、時代に寄り添ったアイテム作りに力を入れてきました。そんな同社がアクセサリーの製造をはじめたのは、2015年。そのきっかけは、東日本大震災で茨城・古河市の工場がストップしたことでした。

「HARIOが販売するアイテムの原料は、そのほとんどが自社で製造した耐熱ガラス。それらは約50年前から、周辺環境や働くみなさんに配慮した日本初の直接通電式ガラス溶融炉、通称 “煙突のない工場”で生産しています。排気ガスや粉塵が出ないようすべての機械を電気で動かしているため、震災の影響で電気が止まり、何もできない状態が続きました。ガラスという素材は、ずっと溶かし続けないと固まってしまいます。一度固まると機械では再利用することが難しいため、ガラスを溶かす溶融炉に固まったままのガラスが残ってしまったんです」

そして「使えなくなったガラスを再利用できないか」と話し合ううちに、「機械が動かないなら、人の手でできるバーナー加工で何かを作ろう」という発想に至りました。しかし、すべて人の手で作るということは、サイズが小さいアイテムに限定されます。

「すると、『それならアクセサリーを作ってみたらどうか?』というアイデアが出ました。試したところ、社内の女性陣からもかわいいと評判で。これならすぐに商品化に着手できるということになり、アクセサリーの製造部門が動きだしたんです」

その後、職人たちの技術継承にもつながるようにと「HARIO Lampwork Factory(ハリオ ランプワーク ファクトリー)」というブランドとして、ガラスアクセサリーに特化した部門が立ち上がります。それと同時に、全国からアクセサリー専門の職人たちが集まりました。平野さんも、その一人です。

▲ショップと工房が一体になった「HARIO Lampwork Factory 小伝馬町店」
▲店内にはアクセサリーを中心に、近年のヒット作となった水出し茶用のガラスボトル「フィルターインボトル」など、同社の代表的なアイテムも並ぶ
▲お話を聞いたアクセサリー職人の平野さやかさん

軽やかで透明感のある耐熱ガラス
多彩なデザインに心躍る

HARIOの耐熱ガラスは、天然の鉱物を精製した地球にやさしい素材で作られています。質のいい砂に食塩など体に害がない材料を調合しており、溶かして再利用も可能。そのためアクセサリーが欠けたり割れてしまったときは、工房に持参すれば修理してもらうこともできます。そうしたエコな素材も、地球環境を大切にするHARIOらしいところです。

「耐熱ガラスという素材自体で言えば、透明感があって軽いという特徴があります。その美しさはもちろんですが、実際に耐熱ガラスで作ったアクセサリーを身につけてみると、体に負担のないつけ心地という面でもよい素材だなと感じます」

一般的にガラスアクセサリーは、耐熱ガラスかソーダガラスで作られていることが多いのだそう。ソーダガラスとは、窓ガラスやビン、食器によく使われているガラスです。

「ソーダガラスは厚さと重みがあるぶん、例えばピアスにすると耳が引っ張られる感じがあるんですよね。好みにもよりますが、やっぱり耐熱ガラスで作ったものは長時間身につけやすい。その特性にくわえて、HARIOらしいシンプルなデザインも世代を問わず手に取っていただいている理由かなと思います」

軽やかな付け心地かつ、キラッと肌を彩ってくれる透明感は耐熱ガラスならでは。重ねづけしたりコーディネートのワンポイントとしても、一つ持っていると重宝するはず。

▲ガラスアクセサリーの肌なじみの良さは、実際に身に付けるとよく分かる。「ブレスレット リトルティアーズ」、「リング ミルククラウン」(手前)、「リング カラム」(奥)
▲ヘアアクセサリーも人気。うるっとした透明感で、ワンポイントとしてはえる。こちらは凸凹で格子を表現した「ヘアゴム コウシモヨウ」

「耐熱ガラスは、職人として作りがいがある素材でもあります」と平野さん。火を入れると伸縮性を持つため、いろんな形を作れるのが利点だとか。ねじったり表面に凹凸を付けたり、シャボン玉のように空洞を作ったりと、職人たちはその特性をいかし、さまざまなデザインを生み出していきます。

「原料となるガラス棒は、バーナーの火にかけるとあめ細工のように柔らかくなるんですよ! でも火から離すとすぐに固まるので、製作中はスピード勝負(笑)。またガラス棒はバーナーで加工すると先端が丸みをおびるので、それをアクセサリーのデザインにもいかしています。水滴をモチーフにした『アール』というシリーズがその代表作ですね」

▲アクセサリーのもととなるのは、このガラス棒
▲ガラス棒の先端を繰り返し丸く加工したもの。火にかけるとぐにゃっと曲がり、自由自在に形作れる
▲「アール」シリーズは創業時からの定番人気。中央は「ピアス グロス」

手作りならではの個体差が
世界に一つだけという価値を生む

新作がハイペースで登場するのも、「HARIO Lampwork Factory」のファンにとってはうれしいところ。いまや店舗限定品を合わせると、その種類は約300にものぼります。

「アクセサリーは、専属デザイナーが描いたデザインに、作る側である職人の意見を取り入れて決定します。例えば上がってきたデザインが商品化できるか、安定して数を作ることができるかなど、生産性も含めた私たちの意見を伝えるんですね。ときには『こんな形なら作れますよ』って話しながら新しいデザインにつなげていくこともあります」

全国に工房があるため、大きさや厚みなどのクオリティを保つことも、職人たちの課題とか。とはいえすべて手作りなので、よく見ると一つ一つで味わいが異なります。

「ペアになるピアスなどは左右差がないように気をつけるのも私たちの仕事ですが、若干の個体差を楽しみながら選んでいらっしゃるお客さまも多いです。私自身もガラスアクセサリーが好きで集めていますが、このちょっとした違いが“世界に一つだけの品”という特別感があるんですよね」

実は平野さん、職人になる前からガラスのアクセサリーを愛用していたそう。さまざまなガラスアクセサリーを集めているうちに、耐熱ガラスの魅力やガラス工芸のおもしろさにも惹かれ、職人を目指したのだとか。

「職人たちは、美術大学のガラス専攻やガラス工芸の専門学校に通うなど、さまざまな形でガラス工芸について学んできています。私はもともとガラスアクセサリーが好きで、HARIOのショップスタッフとして働きながらガラス工芸研究所という学校に通って勉強しました」

▲地球にやさしい素材を使い、人の手で形作っていく。そんな温もりもガラスアクセサリーの魅力だ
▲「ピアス フラワー」(中央)、ざらつきのある加工を施した「リング フルムーン」(右)

シーンやファッションを選ばない
ガラスアクセサリーを、毎日のお供に

現在「HARIO Lampwork Factory」は、ここ小伝馬町店をあわせ全国7カ所に工房を展開。約50人の職人が在籍し、日々ガラスアクセサリーと向き合っています。

「ガラスを扱う職人自体が少なくなってきているなか、最近は『アクセサリーを作りたい!』という若い職人が増えてきました。スタートからたった数年で全国に工房が展開できたのも、そんな理由があります。みなさんに喜んでいただけるアイテムを生み出すと同時に、職人の技術力も上げていく。これからもそういった素敵なサイクルを作っていけたら」

HARIOのガラスアクセサリーは、季節やファッションを選ばずに付けられるシンプルなデザインがほとんど。「そのぶん、お買い物の際は迷われる方が多いですね(笑)。厚みのある冬服やTシャツなどの軽装、またドレッシーなスタイルにもよく合うので、とても使い勝手がいいですよ!」

毎日のアクセントとして、一つは持っておきたいHARIOのガラスアクセサリー。STOREE SAISONでは、イヤリングやピアスをはじめ、ネックレス、リング、髪留めを展開中。キラッと美しいアクセサリーたちは、ふと手元が目に入ったとき、鏡を見たときなど、何気ないワンシーンをきらめきある一瞬に変えてくれるはずです。

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