地中海に浮かぶ島、コルス（イタリア語でコルシカ）。後にフランス皇帝となるナポレオンの生誕地として有名で、南北184km東西83kmと広島県程の面積を持ち、わずか12km南にイタリアのサルデーニャ島が控えています。
 
エメラルドグリーンの海から内陸に入ると2,000m級の山々がそびえたち、「海の中の山」とも呼ばれるコルス。夏は暑く乾燥した地中海気候で年間の日照時間は3,500時間を誇ります（日本で最も日照時間が長い山梨県で2,188時間）。多くのぶどう畑が海岸線に近く、強い風が常に吹くことから、特に白ワインには塩気を含んだ豊かなミネラルが感じられるのが特徴です。
 
またコルスは地品種の宝庫で、一時は多産性の品種がもてはやされ絶滅しかけた固有品種も多かったものの、質と個性を重んじる造り手や研究機関の努力により復活を果たしています。昨今、コルスで4大品種と言われているのが黒ぶどう品種のニエルッキオ（=サンジョヴェーゼ）とシャッカレロ、白ぶどうはヴェルメンティーノ（辛口）、ミュスカ・ブラン・ア・プティ・グラン（甘口）が挙げられます。
 
今回は北のパトリモニオからカルヴィ、南端のフィガリへと、コルスの銘醸地を縦断して飲み比べられるセットをご用意しました。豊かな自然に寄り添い、人の手を極力介入させない、ナチュラルでピュアな味わいをご堪能ください。

ぶどう品種：ニエルッキオ100％

コルスきっての銘醸地パトリモニオ。この島では珍しい石灰質土壌で、美しいミネラルを持ったワインが生み出されます。看板品種であるニエルッキオは、サンジョヴェーゼと同一、あるいは親戚とみなされており、肉付きの良さとしっかりとした骨格が魅力です。

造り手はコルスワインのパイオニアであり伝説的なドメーヌ「アントワーヌ・アレナ」で10年以上醸造を担当し、その後家業を引き継いだ「ドメーヌ・アントワーヌ・マリー・アレナ」。

ジュヴレ・シャンベルタンを思わせる魅惑のミネラルとしっかりとバランスの取れた骨格を感じます。グリルした牛肉や、ムール貝、ホタテといったシーフードにもピッタリです。

ぶどう品種：シャッカレロ100％

「コルスの果樹園」とも言われるコルス・カルヴィ地方は、島の中でも降水量が少なく、地域全体が乾燥して暖かく、風通しのよい大陸性気候。強い日差しと風で畑の土はいつも乾いており、この気候条件が病気や害虫の発生を抑えるのに重要な役割を果たしています。

1850年より代々家族経営を貫いてきたドメーヌ・レヌッチが造るロゼワインは、クミンなどのスパイスと相性がとても良くて、タイ料理や、中華料理と一緒に飲みたくなります。
 
ロゼワインと言っても、決して薄くなく、「ふんわりした軽さ」の奥に、しっかりとした存在感があります。ですから、強い料理と一緒に合わせることで、このワインの良さがより一層発揮されます。また、オリーブオイルを使った料理にとても良く合い、アサリとトマトのパスタや、ペペロンチーノと見事に寄り添うでしょう。

ぶどう品種：ヴェルメンティーノ100％

コルスの最南端（つまりフランスの最南端）に位置するフィガリは紀元前6世紀頃にぶどう栽培がもたらされたフランス最古のぶどう栽培地。フランス最南端ながら体感温度はカルヴィやパトリモニオよりも低く、特に朝晩の気温の下がり方は、他の地域と比べても大きいのが特徴です。

この気候がクロ・カナレリのワインの洗練されたスタイルを作り上げる大きな要素の一つとなっています。1997年に元詰めを開始した造り手ですが、2002年からビオロジック、2006年からビオディナミを実践し、コルスの地品種の復興に力を入れるなど常に躍進を続けています。

ヴェルメンティーノ100%のこちらの白ワインは、絶えず吹き付ける潮風を感じさせるミネラルに、完熟レモンの爽やかなアロマ、ピュアな酸味が心地よい1本。控え目ながら一本筋の通った、気品あふれる味わいです。白身魚のソテーや牛タン、ローストポークと合わせて。