石川酒造場では、昔ながらの甕仕込みを守り続けています。
80本ある一石（約180リットル）甕を毎日かき混ぜながら発酵の進み具合を確認します。
手間は掛かりますが、こうして一甕一甕を大事に管理することが美味しい泡盛を生み出します。

「玉友　沈黙1992」は1992年に蒸留された泡盛を甕のみで熟成させた古酒です。
甕熟成の場合、同じ年に蒸留し熟成させ始めたものでも、甕によって熟成の度合いが異なります。
今回は、今が飲み頃と言えるNo.51の甕から瓶詰めし、360本限定で商品化しました。
ウィスキーで言うシングルバレルと同じスタイルです。
長期間熟成された泡盛はバニラのような甘い香りが出てきますが、甕で熟成された泡盛はさらにカラメルのような香ばしい甘味をまといます。
25年を超える希少な長期熟成古酒をゆったりとお楽しみください。

終戦後の昭和２１年、沖縄民生府財政部は復興に向けて５ヶ所の酒造元を設立し、直接運営を始めました。
昭和２４年にそれらが酒造所が民営化されると同時に民間の酒造場が設置できるようになりました。
その時に創業者 石川政次郎が首里寒川町にて石川酒造場を興したのが始まりです。
平成２年１０月に西原町に移転し、平成5年に株式会社石川酒造場として商号を変更しましたが、今でも昔ながらの甕仕込み製法を採用し一石甕を使い、職人の技術と手間隙をかけて仕込みを行っています。
こうした伝統的な泡盛造りにこだわる一方で、泡盛を蒸留した後に残る酒粕から得られるもろみ酢の商品化にも成功し、もろみ酢の一大ブームの火付け役となりました。
また、沖縄の薬草やハーブをボタニカルとして使用したクラフトジンを開発するなど、新たな取り組みにも挑戦し続けています。

口に含むとバニラの甘さがやさしく広がります。
甕のミネラル感を強く感じ、熟成した八丁味噌を思わせる風味です。
ヘーゼルナッツの香りがクレームブリュレを思わせる甘味に変化していきます。
最後にカラメルのようなほろ苦さを感じますが、やさしく消えていきます。
余韻はやや長めで、みそやしょうゆのような味わいが残ります。
最後にクチナシの花のような香りが鼻から抜けていきます。

※「味わいチャート」は、味わいの特徴を形成する要素を抽出して
　数値化して作成しました。
　上に膨らんでいれば爽やかで軽やかな味わい、下に膨らんでいれば
　まろやかで重厚な味わいであることを示しています。。
　お酒選びの参考になれば幸いです。

※弊社の泡盛マイスター添石がテイスティングに基づき表現しております。
　味や香りの感じ方、表現のし方は個々人により異なるため、上記の味や
　香りを感じられない場合もございます。
　また、使用する酒器によっても味や香りの感じ方は変わります。
　テイスティングには、ISO（国際基準協会）により形・寸法が定められた
　テイスティンググラスを使用しました。

文責：株式会社かわまん商店
　　　企画開発本部長　　添石　洋一
　　　沖縄県知事認証　泡盛マイスター　第234号
　　　(一社)泡盛マイスター協会認定　シニアマイスター　第3号

【トルネード】
大き目の赤ワイン用のグラスに氷をたっぷりと入れ、少量の泡盛を注ぎます。
あまり多くの泡盛を注いでしまうと、飲み切る前に氷が溶けて薄くなり過ぎて
しまうので注意してください。
グラスを回して氷と泡盛を混ぜながら楽しみます。
混ぜ具合や氷の溶け具合、時間経過と共に、様々な香りが出たり消えたりして、
この泡盛の複雑さを楽しむことができます。
感じられる香りはキャラメル、バニラ、クチナシの花、醤油、みそ、フルーツパパイヤ、
生クリームなど。ややスモーキーな印象を感じることもあります。