（：有巣社長）
「私が舩坂酒造店の経営を引き継いだのは2009年です。当時、私が事業の継承をしようと思った理由は大きく２つありました。1つは、舩坂酒造店の立地です。舩坂酒造店は、高山の上三之町メインストリートである「古い街並み」に位置します。ここは、東京で例えると銀座の中央通りのような、一等地で、多くの方が訪れる観光スポットです。多くの方が訪れる場所で、商品とサービスを提供して勝負してみたいという想いがありました。」
「2つ目は、地域の魅力を上げていきたいという想いです。グループ会社であるアリスグループの母体は旅館業です。旅館というのは、地域の魅力が多ければ多いほど、その土地を訪れる人が増え、事業が成長するものです。逆に言えば、地域の魅力が下ってしまうと、旅館の価値も意図しないところで落ちてしまう。地域の魅力の一つである、地元の酒屋が無くなっていくということは、地域の魅力や価値も下がってしまうという点で、非常に残念な事だと感じました。なんとか長年引き継がれてきた地元の良さを維持できないか、と考え、事業を引き継ぐ決断をしました。」
 
有巣社長はキャリアをコンサルタントとしてスタートした、経営のプロフェッショナル。事業継承前からの経営状況を元に蔵としての戦略を練り直し、経営方針を一新、以降対外的な発信を強化してきた。「飛騨高山」という地域をもっと多くの人に知ってもらえるよう、町をあげた地域活性化の取り組みを行い、現在日本酒を国内に限らず、アメリカ、中国、香港、オーストラリアなど海外の方にも広く親しまれている。